この記事では、舞台『PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』1および2、またアニメPSYCHO-PASSのネタバレを多く含みます。
ネタバレを読みたくない方はご注意ください。
本記事は、舞台を観た事により色相がドロドロに濁った潜在犯が書いております。この記事を読み、サイコパス数値が悪くなっても責任が取れませんのでご了承ください。
感想を一言で言うならば
一言で感想を言うならー地獄。
VV1を観た方ならわかると思うけど今回も、です。
いやそりゃあね、キャッキャウフフな世界線は予想してなかったよ。最初から。
だってPSYCHO-PASSの世界だもん。
もちろん、個人的には幸せな三係が見たいよ?!
でも、時系列を考えれば、絶対に違うってのは予想できるわけで・・・
だからって”また”こんな地獄が待っているとは思わないじゃん・・・・?
VVシリーズに足を踏み入れた経緯
軽く、VVシリーズに出会うまでの経緯を。
私はアニメPSYCHO-PASSシリーズは全て視聴済み。
同じくアニメを観て、一緒に劇場版にも足を運んだ友人から、自分の推し(九泉晴人役:鈴木拡樹さん)が出るんだけど一緒に行かない?と『PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』の大阪公演に誘われたのが舞台VVシリーズの始まり。
VV1ではメインキャラ全員死亡、キャラブロマイドが遺影となってしまうというまさかの事態、また想像以上の”PSYCHO-PASS”の世界観の再現に驚き、引き込まれました。
そんな完成度の高かった舞台の続編ということで、かなり楽しみにしていた今回!
続編の脚本が1のメインキャストである、大城奏人役・池田純也さんであること、アニメシリーズ宜野座伸元さんの声優、野島健児さんの息子さんがアンサンブルで出演されるのもアツかった!
今回はコロナウイルスの影響もあり、現地は諦めましたが、ありがたいことに配信が!
とても楽しみに初回公演を視聴しました。
視聴前の不安
VV2は、VV1に至るまでの前日譚。
VV1にいなかったキャラはまぁそういうこと。
アニメを含むPSYCHO-PASSの話のパターンを考えれば、彼らが劇中でどうなってしまうのかっていうのは考えるまでもなく。
嘉納監視官も、VV1のラストを思えば、今作ではそこに至るまで苦悩と葛藤が描かれるのだろうということは容易に想像がついた。
それだけでもう、今回もなかなかの地獄なのでは?という予感はあった。だって最後は絶対バットエンドじゃん。嘉納監視官闇落ちエンドなんでしょ?
そしてさらに、明らかに蘭具君の見た目で同じキャストなのに「光宗悟」という名前の別人、違和感と不安しかないキャラクターの存在。
蘭具君、君は一体「誰」なの?
VV1の九泉監視官が、ありもしない記憶を嘘の植え付けられていたことが頭によぎり、もしかして実は今回の「光宗」が本当の蘭具君で、VV2のあの蘭具君は、架空の記憶だったのでは?とか、色々考えました。
本編ざっくりネタバレ
話は「嘉納が執行官から監視官へ」という異例の昇進を命じられるところから始まる。
本来、監視官は2名体制のところ、三係の前任の監視官は失踪し、現在は嘉納監視官1人。
執行官は新人の御子柴と坂咲の2名、それからピンチヒッターの周。
フォローに斎記監視官が入り、三係は計5人に。
そんな中、公安局宛にスーツケースに押し込められた死体と「トロリー・プロブレムを見過ごすな」というメッセージが届いた。
死体の発送元を辿っていくと、自然回帰主義者らが暮らす、シビュラ社会から隔絶された独立集落 「特別自治区 Neo・Nature・Division」通称 NNDが関わっている事が発覚。
現地に視察に向かった嘉納監視官。そこで特区内の治安維持組織の構成員・神宮寺と激しく対立することになる。
視察ではそれ以上のことが出来ないため、強制捜査を上へ申請。
しかし禾生局長からは「シビュラシステムの判断」として、捜査自体別の課に引き継がれてしまうことに。
それでも、嘉納監視官は独断で捜査を続行することを決意する。
異例の昇進、”元執行官”という立場、三係とうまくなじめない現状に焦りを感じ、三係のメンバーに強引な態度をとる嘉納監視官。
「そんなやり方では誰も付いてこない」と執行官らに止められるがその言葉はなかなか届かない。
しかし、捜査を進めるうち、折り合いの悪かった執行官とも少しずつ距離が縮まり、わかりあうことができた。
だが、そんな時間もつかの間、仲間たちは次々と倒れていってしまう。
そしてついにスーツケースの送り主が神宮寺で、彼が三係の失踪した監視官だという事実にたどり着いた。
NND内部では潜在犯相手に人体実験が行われている、と語る神宮寺。
脳を入れ替え、人格を変え、意図的に色相を操作するーそれが出来れば、潜在犯というものがいなくなる。そのために。
闇に触れているうちに、神宮寺の色相は濁り切ってしまっていたのだ。
「NNDトップである光宗を始末し、この人体実験を止める。潜在犯をゴミとしか思っていないこの世界を変える。大儀の為なら怪物にだってなる、どんな犠牲も払う。」そう話す神宮寺。
嘉納監視官もまた「人体実験を止める」という共通の目的の為、一時共闘することに。
そして2人でNNDのトップである光宗を倒すが、彼は全身義体で人間ですらなかったという衝撃の事実を知ることとなる。
驚きつつも、そのまま人体実験現場へ乗り込む嘉納監視官と神宮寺、そこへ合流する斎監視官。
突然現れた嘉納監視官らに、作業員たちは慌てふためく。
驚くべきことに「自分たちはシビュラシステムの職業適性によりこの仕事をしていた!」と言うのだ。
実際、ドミネーターを向けても、色相はクリアなまま。
「何も罪を犯していない潜在犯が犠牲になり、異常者たちを守っている自分たちは一体何だったのか?シビュラシステムは正しいのか?命に大小があるのか?なら俺が全員殺して教えてやる。」
やるせない真実を前にし、そう叫ぶ神宮寺、彼の色相はもう300を超えていた。
「トロリー・プロブレム」それは、5人を助ける為に他の1人を殺してもよいか?という哲学の問題。
5人の異常者を救うために無実の1人が犠牲になるならば、自分は迷わず5人を殺す、という神宮寺。
対して、秩序と平和を守るために5人を守らなければならない、という斎監視官。
「お前はどちらだ」という神宮司の問いに、嘉納監視官は答えることができなかった。
ドミネーターを引けずにいた嘉納監視官に斬りかかる神宮寺。それを庇う形で斎監視官が倒れる。
何が正しかったのかもわからないまま「秩序と平和のため」に潜在犯となった神宮寺に引き金を引く嘉納監視官。
目の前で神宮寺が執行後された姿を見て、作業員たちは口汚く「潜在犯め」などと罵る。
その様子を目の当たりにした嘉納監視官は神宮寺の刀を拾い、その場にいた全員を殺害。
ー5人か1人か。
どうせ選べないなら、こんな世界壊れてしまえば良いー。嘉納監視官は立ち尽くし壊れたように1人笑う。
しかし彼はまだ知らない。
これら全てシビュラシステムの予想の範囲内ー想定内の出来事であることを。
全ては「人口監視官育成計画」の為の事。
そう話すのは、禾生局長と「光宗」の姿をした男。
そしてその男は、禾生局長より次なる任務として「蘭具雪也」として三係執行官を命じられる。
そして、物語はPSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Viceへと続いていくのだった。
こんなの潜在犯落ちするって・・・
やっぱり、光宗君=蘭具君だった。
というか、人間ですらなかったという衝撃。
「人口監視官育成計画」の為にシビュラシステムが用意した存在。全身義体の。・・・これはむしろシビュラシステムの一部なのか?
えっ、ということは蘭具君も全身義体、だったの?
怒って、泣いて、かっこよく散っていってしまったあの、蘭具君は嘘だったの?
全ては、人口監視官育成計画の為の、行動?
・・・・・・・・・・蘭具君推しの人息してる???私はしてません。
VV2での嘉納監視官は、どういう気持ちで蘭具君を見ていたんだろう。姿かたちそのまんまなんだから、再会すれば、当然「あれ、光宗?」ってなるよね。
それまでの経緯ですら闇が深くて辛いのに、そこにさらに人口監視官育成計画の事まで知ってしまうって、嘉納監視官辛すぎない?
あとさ、蘭具君って「九泉監視官のお気に入り」って設定あったよね・・・。つらい。
こんなのつらすぎる、VV1の解釈が変わってくるじゃん、どう受け止めたらいいの?
外側にいる人間すらこれだけダメージあるんだから、当事者の人たちはそりゃ色相濁るよ・・・。
ーーー
VV1にいないキャラたちはは予想通り、順番に倒れて行った。
でも「現場復帰は難しい」とか「重傷」という表現だっだから、一部生きている可能性はありそう。これは唯一の希望かもしれない。
劇中、神宮寺さんや嘉納監視官が、真実を知って、狂っていってしまうの辛かった。
何が正しくて何が間違っているのか。
そういうことを考えている人間らしい人ほど、狂ってしまう世界のように思う。
シビュラシステムさん、えぐすぎるよ。
あと、神宮寺さんは、思ったよりいい人だったな。もっと絶対的悪のようなキャラクターかと思っていた。むしろ光宗さんの方がその傾向あって「あなたが悪のボスだったのか!」と思ったもんです。
ーーー
舞台が始まる前に、もう何度目かわからないアニメの再視聴をした。
その中でとっつぁんが「深淵を除くとき、深淵もまたこちらを覗いている」という事を言うんだけど、今回見ていて、その言葉がふと頭をよぎったのね。
そしたら神宮寺さんも、まんまそのセリフを言うのでやっぱり?と思った。
深淵を見せられて見事に濁りましたよ!色相が。
例え人を殺していようが、何をしていようが、色相さえクリアなら「正常」と扱われる世界。何の罪を犯すことなく、そのまま一生を終えたとしても「異常」として扱われる世界。
異常な人間でも色相がクリアなら救い、「潜在犯」ならどんな人間であっても切り捨てる。
この現実に疑問や迷いを持てば、色相は濁る、そういう世界。つらい・・・。
演出について
舞台装置は前回同様、かなりクオリティが高かった!
あと、開演前から舞台上でお祭りのような演出があった事にびっくり。
中でも1番驚いた演出は、冒頭の「公演一時中止です!」というやつ。
配信映像もちょうどプツッと切れたので、本当に機材トラブル、もしくは演者さんに何かあったのか!?と焦った。嘉納監視官が出てきた時も客席を落ち着かせるため?と思ったくらい。
演技し始めてようやく「あぁそういう演出ね」と理解。
今回は客席に降りたりすることができないから、お客さんと絡むために入れた演出なのかな?
とにかくびっくりした演出だった!
あと雑賀先生!アニメのそのまんま!
声はもちろんご本人だから当然なんだけど、見た目も予想以上に寄せられていてめちゃくちゃ感動した。
配信版カメラワークも、シーンごとに寄りがあったりして、ストレスなく観れました。
個人的な評価としては
結末は相変わらず地獄だったけど、今回も面白かったです。
そもそも嘉納監視官の過去の話、ということで地獄は想定済みだし。
VV1がかなり評判が良いので、続編はどうかなと思っていたけど納得の完成度だったと思います。
VV1とVV2の間には、少し時間が空いているような気がするので(嘉納監視官が人口監視官育成計画を知るまで、とか)続編を見たいような、見たくないような。
どんな時間枠であったとしても、地獄確定だからな。
VV1が終わった後は、幸せな世界線の三係が見たい、皆で海行ったりする話が見たい、とか思ってたけど、今回の「人口監視官育成計画」の設定で、もうそれも叶わないな・・・・。
だって、そんな話があったとしても、蘭具君を今までと同じようには見れないから・・・。
がっつり私の色相を濁らせてくれたVV2。アーカイブはしばらく配信あるので、VV1と合わせてもう1度ゆっくり観たいなと思います。